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100年寿命の肝はやはり⾻にあり No.479

100年寿命の肝はやはり⾻にあり

東京慈恵医科⼤学整形外科学教授 斎藤 充先⽣

⼀部抜粋 ⾻―――それは、からだを⽀える、⽂字通りの屋台⾻。⾻の強さは、いのちの強さそのもの。こんな書き出しで始まる斎藤先⽣の著書「100 年⾻」。⾻粗鬆症について最近の知⾒を含めとても分かりやすく書いてあります。今回は多くの⼈がご存じないであろう最近の知⾒を含め、⾻粗鬆症について⼤切な内容をいくつかご紹介します。

⾻の強さを決める2つの要素

外来で⾻粗鬆症の話をすると、まず出てくる⾔葉はカルシウムです。確かに、⾻の体積のほぼ半分はカルシウムやリンといったミネラル成分で出来ています。でも⾻の成分はカルシウムだけではありません。残りの半分はタンパク質の⼀種であるコラーゲンです。

⾻の強さは「⾻質」に関わる︖︕

⾻の構造の説明には鉄筋コンクリートの建物に例えられることが多くあります。コンクリートに相当するのがカルシウムで、鉄筋はコラーゲンにあたります。カルシウムなどのミネラル成分とコラーゲンの分⼦が粘り強くつながりあって⾻の強度を保っています。建物でいうところの鉄筋1 本がラーゲン分⼦1 本で「架橋」と呼ばれるものが「梁」の役割をはたして、隣り合う鉄筋同志を(コラーゲン同志)をつなぎとめています。この無数のコラーゲンが⾻に粘り強さ、しなりを与えています。つまり、コンクリート=カルシウムなど=⾻密度(⾻量) 鉄筋=コラーゲン=⾻質

院⻑よりメッセージ

⾻密度が⾼くても⾻折などを⽣じることは良く経験します。これは⾻質が悪い(劣化)しているケースです。ではどうすればいいのか。現在分かっているのは、ビタミンB1,2,12,葉酸、ビタミンD がをバランスよく接種し、⽇光を適度に浴びて、適度な運動することです。

〜運動と気温の関係について〜

こんにちは!徐々に気温も⾼くなってきていますが皆様いかがお過ごしでしょうか?今⽇は運動と気温の関係についてみてみましょう!
⼈体における熱エネルギーのうち、実に75%が⾻格筋で産⽣されると⾔われます。運動中は⾻格筋を多く使うので、当然、熱エネルギーは⾝体の中に増え、蓄積されていきます。そこで体温の恒常性を保つため、⾝体の熱を発散させるいくつかのメカニズムが機能して運動中の過度な体温上昇を抑制しています。ところが、⾼温多湿の環境下での運動は、⾝体の中の熱エネルギーを周囲に発散させることが困難になることが知られています。過度な熱産⽣は⼤脳の⾎流と代謝に影響を及ぼし、脳における情報処理、神経-筋における情報伝達が低下することで疲労を引き起こします。その結果、運動のパフォーマンス低下だけでなく熱中症に代表される疾患を発症するリスクが⾼まります。この運動中の熱放散を促す⽅法がこれまでに報告されており、⽇頃からそういった⽅法を実践しておくことで、体調を崩すことなく運動を継続するができるので、それらの具体的な⽅法をご紹介します。
【①予め⾝体を冷やしておく】:運動前に冷⽔を浴びたり、冷えた空間にいると⾝体全体が冷えて、その後暑い環境下で運動をしても温度の影響を受けにくいことが分かっています。ただし深部温を下げるまでには⼗分な時間が必要とも⾔われています。
【②⽔分を多く摂る】:普段よりも多く⽔分を摂取することは暑熱環境下体温調節において有利に働きます。ハイパーハイドレーションとも⾔われるこの⽅法には、⾝体の深部温を下げるとともに、汗をかきやすくすることで気化熱により体温が下げる効果があると報告されています。
【③ウェアを⼯夫する】:運動する際に吸湿・速乾性のあるウェアを着⽤することで、素早く汗を乾かし熱を体内から発散させてくれます。最近では特殊な素材を使ったウェアも各スポーツ⽤品メーカーから出されているのでこれらを選ぶのも良いでしょう。
【④暑さに慣れておく】:暑くなった⽇に急に運動を⾏うと、⾝体が慣れていないため上⼿く汗をかけず熱がこもってしまいがちです。まだ暑さが本格化する前の5−6⽉頃に熱中症が多いのはこのためです。暑さに慣れるには7−14 ⽇かかるとされていますが、必ずしも毎⽇暑い中にいる必要はありません。3⽇おきに暑い中で少しずつ運動すれば1ヶ⽉で⼗分暑さに対する耐性が出来てきます。
参考⽂献:D Wendt, et al. Thermoregulation during exercise in the heat: strategies for maintaining health and performance. Sports medicine. 2007