〜2010年に開院し、15周年を迎えました〜

⾻粗鬆症を予防する「⾷べ⽅」について
東京慈恵会医科⼤学 整形外科 斎藤充教授
⾻粗鬆症の予防には「適度な運動」は勿論ですが、「適切な⾷事」がとても⼤切になってきます。
必要な栄養素が摂取できないと運動効果も期待できないからです。
⾻粗鬆症予防にはカルシウムとビタミンD を⼀緒に摂取しましょう︕
⾻にとって必要な栄養素は何かと聞くと、多くの⽅がカルシウムと答えます。もちろんカルシウムは⾻に⽋かせない⼤切な栄養素であり、間違えではありません。しかし、⾻の原料であるカルシウムをしっかりと腸から吸収させるには「ビタミンD の存在が不可⽋」です。⾷品や飲料には、⾻を強くする⽬的で、カルシウムの含有量を増強した製品がありますが、カルシウム単独では⾻を強くすることが出来ないことを忘れてはなりません。
サプリメントによるカルシウム過剰摂取に注意︕
⾻粗鬆症の治療のためには、1 ⽇700〜800mg のカルシウム摂取が勧められています。中にはサプリメントで補充しようとする⽅もいますが、カルシウムに関してはあまりお勧めできません。サプリメントによるカルシウムの過剰摂取は、不整脈、腎機能不全、⾎管・軟部組織の⽯灰化からの⼼臓病発⽣など、健康障害を招くリスクが報告されているからです。
院⻑よりメッセージ
外来でも気軽に摂取できるサプリメントを愛⽤している患者さんがいます。しかし、過剰摂取は健康障害を招くので避けましょう。⾷事としてカルシウムを摂る分には健康を壊すほど摂取するリスクはほぼありません。健康のためにもサプリからではなく、カルシウムを豊富に含む⾷品を⾷べて摂取することをお勧めします。中でもチーズ・ヨーグルト・⽜乳・⼩⿂・⼤⾖、⼤⾖製品・葉物野菜(ほうれん草・ケール・ブロッコリー・⼩松菜・チンゲン菜など)がお薦めです♪
ビタミンEについて
ビタミンE は、脂溶性のビタミンで水に溶けにくく油脂に溶けやすい性質があります。4 種のトコフェロールと4 種のトコトリエノールを総称してビタミンE と呼びます。体内に最も多く存在し、生体に対する作用が強いのが「α-トコフェロール」です。
【ビタミンEの働き】
◎血行を促進する
ビタミンEは血液がドロドロになるのを防ぎ、スムーズな流れを保つのに役立ちます
◎脂質の酸化を防ぐ
強い抗酸化力をもつビタミンで、体内で発生した活性酸素に反応し、脂質の酸化を防ぐ働きがあります
【ビタミンEを多く含む食材】
◎アーモンド・ヘーゼルナッツなどのナッツ類やひまわり油・なたね油などの植物油

◎かぼちゃ・モロヘイヤなどの緑黄色野菜

ビタミンEは脂溶性ビタミンですので、油を使った調理をすることで吸収率が高まります。また、熱を加えても分解されにくいという特徴があります。食材を保存するときには、光に弱いので冷暗所に保存しましょう。そして、酸化しやすいので新鮮なうちに食べるのがおすすめです。ビタミンEは抗酸化作用を発揮する大切な栄養素です。通常の食生活をしていれば、過剰・不足することはほとんどありませんが、バランスのとれた食事を心がけましょう。