「健康寿命の延伸」というテーマは行政も力を入れており、その大切さは皆さんの耳にも届いているかと思います。
当院では一人でも多くの方に、少しでも長く自立して健康で元気に社会生活を送っていただきたいと切に願っています。
それこそが、地域社会の活性化、つまりは社会貢献につながると考えているからです。
日本は世界有数の長寿国
公衆衛生の改善、医療環境の充実そして個人の健康意識の向上などにより、人の寿命は大きく延伸しました。厚生労働省の発表によると、2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となり、ともに過去最高を更新しています。
また、8年連続で前年度を上回っています。女性は5年連続で世界2位、男性は3年連続で3位であり、世界有数の長寿国と言えます。
健康寿命とは
健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標で、「日常生活に制限ない期間の平均」です。つまり、健康寿命とは日常生活動作が自立し、健康で過ごせる期間のことを指します。
平均寿命と健康寿命の差は約10年
日本における平均寿命と健康寿命の差は女性が約12年、男性が9年であり、概ね約10年と言えるでしょう。年々平均寿命は延びており、今後ますます平均寿命と健康寿命との差が大きくなることが懸念されています。
平均寿命と健康寿命の差が大きくなるとどうなるのか?
介護が必要となり、生活の質が下がります。
まず、介護が必要な期間が長くなります。これは介護を受ける方にとっても、介護する方にとっても負担がかかりますので双方にデメリットしかありません。
これでは個人の生活の質が低下していまいます。生活の質は生きがいにもつながりますので、とても重要です。
社会保障費の負担が大きくなる。
介護期間が長くなれば、それに伴い医療費や介護給付金などの社会保障費の負担も大きくなります。
厚生労働省の報告によれば、我が国の社会保障給付費は約90兆円(平成18年度実績)であり、その内訳は、年金が約5割、医療が約3割、福祉その他が約2割となっています。
この給付費は、主に保険料と税でまかなわれており、その内訳は、保険料が約6割、税が約4割となっています。
また、高齢化の進行に伴い、社会保障給付費は年々増加しており、今年度では約100兆円(平成21年度予算ベース)と見込まれています。
年々増加する社会保障給付金を賄う保険料や税金は国民一人一人で負担しなければなりません。
しかし、少子高齢化が進む日本においては、現在の若者にこれらの負担が重くのしかかってきます。
つまり、今後の日本の未来を少しでも明るくするためにも健康寿命の延伸が必要と言えるでしょう。