最小侵襲人工関節手術(MIS: Minimally Invasive Surgery)

最小侵襲人工関節手術(Minimally Invasive Surgery: MIS)による人工関節置換術は、皮膚、関節包、筋肉への切開をできる限り最小限にとどめて人工関節置換術を行う方法です。

これは数年前より米国で試みられました。主な人工関節製品はかわりませんが、手術に使用する機器、ジグが開発、改良され現在では日本でも多くの施設で行われています。
(賛否両論、医師によるコンセプト、ポリシーもあり行わない医師も数多くいます)

このMIS法によって術後の痛みは劇的に軽くなり、リハビリの早期開始、早期退院が可能となった結果、早期社会復帰が可能となりました。

MISの問題点

患者さんにとって最善の治療を行うことは医師にとって当然です。当初、MIS法が米国で試みられ徐々に世界各国でも行われるようになりました。

日本にも導入されましたが、新しい手術方法にはリスクが伴います。当初は合併症も報告され、従来の手術方法と比較して手術成績が芳しくない報告もされたために、MIS法を断念したり、行わない医師も多くいます。

私は2007年より開始しましたが、反省を繰り返しながら、また手術器具の改良や開発を人工関節メーカーとタイアップして行い、安定した成績が得られています。

多くの医療機関、多くの医師が知識と技術の獲得に努力を重ね、現在のMISの地位が確立されているのです。

ただし、経験の少ない医師にとってのMISは従来法と比較するとやはりリスクが高くなると言わざる得ないでしょう。繰り返しになりますが、経験のある医師による手術が大切だといえます。

なお、医師個人の考え方、コンセプト、ポリシーによりあえてMIS法を取り入れない医師も多くいます。

MISのメリット/デメリット

メリット

  • 創が小さい
  • 術後の痛みが少ない(腫脹が少ない)
  • 入院期間が短い(医療費の削減)
  • リハビリがスムーズ
  • 社会復帰が早い
  • 術後早期の可動域、歩行能力が改善

デメリット

  • 適応症例に限界がある
  • 医師の経験、技術が求められる
  • 合併症が多い?(経験などが影響)

MISには当然デメリットもあります。MISにて良好な成績を獲得するには経験と確かな技術が必要になってきます。

また全ての患者さんに可能なわけではなく、変形が著しい場合は適応外となることもあります。
MISにこだわったがために術後の成績が悪化するようなことは絶対に避けなければなりません。

MISの適応については経験と技術のある医師にとっては適応が広がりますので、十分に説明を受けることが望まれます。



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