メトトレキセートと生物学的製剤の併用
生物学的製剤が普及してまだ数年ですが、その目覚しい効果が次第に明らかになってきています。現在では従来の治療法と一線を画し、2008年に改訂されたアメリカリウマチ学会のガイドラインでは、メトトレキセートを中心とした抗リウマチ薬と生物学的製剤をなるべく早い時期から併用するのが治療の主流になっています。
とくに、関節リウマチの初期から両薬を併用すると、有効率や寛解率が従来の治療法より高くなります。それだけでなく、抗リウマチ薬の限界だった関節破壊の阻止や予防も、両薬の併用で可能になっています。さらに大切なことは、身体機能が保持されて、日常生活が障害されなくなったことです。
* メトトレキセートも生物学的製剤も使っていない人の、心血管障害による死亡率危険率を1.00とし、両薬を単独ないし、併用したさいの死亡危険率を見ると、下の表のように顕著に低下します。
薬剤 危険率(補正値)
メトトレキセート非使用、生物学的製剤非使用 1.00
メトトレイセート単独使用 0.84
インフリキシマブ単独使用 0.82
エタネルセプト単独使用 0.67
メトトレキセート+インフリキシマブ併用 0.66
メトトレキセート+エタネルセプト併用 0.60
ステロイド単独使用 1.63